DT(二種混合)とDPT(三種混合)について
「はじめに」
こんにちは、アクアキッズクリニックです。
また、より一層さむくなり、乾燥も強くなってきました。このような時期には、ウイルスも生存しやすく感染症が流行ります。
皆さんは、感染症対策バッチリですか?
感染症対策として出来ることは沢山あると思いますが、その中でもクリニックで行える感染症対策として「適切な予防接種を受けること」があります。
今回は予防接種のお話しと、その中でもDPT(三種混合ワクチン)とDT(二種混合ワクチン)に注目して伝えていきたいとおもいます。
「予防接種とは」
予防接種については、皆さんはもうご存じだと思いますが厚生労働省には以下のように記載されています。
「予防接種とは、病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くするために、ワクチンを接種することをいいます。
ワクチンを接種した方が病気にかかることを予防したり、人に感染させてしまうことで社会に病気がまん延してしまうのを防ぐことを主な目的としています。
また、病気にかかったとしても、ワクチンを接種していた方は重い症状になることを防げる場合があります。」
このように記載されているように、ワクチン接種は本人自身の症状軽減や重症化のリスクを抑えるだけでなく、周囲に広めることを防ぐ重要な役割もあります。
「任意接種と定期接種の違い」
定期接種とは
「予防接種法」と呼ばれる予防接種の規則を定めた法律で書かれているワクチンのことです。国が接種を勧奨し、公費で打てるワクチンであるため無料で打つことができます。
任意接種とは
国が認めてはいるものの、「予防接種法」では規定されていないワクチンのことです。そのため接種には費用が発生します。
「予防接種法」に定められているかの違いで区分けをされていますが、どちらもともに病気から身を守るためにも重要なワクチンです。定期接種以外は打たなくてよい、なんてことはなく任意接種のワクチンこそ注意深く意識してあげてください。
「DT、DPTについて」
DT(二種混合)ワクチンとは、
ジフテリア(D)と破傷風(T)の予防接種です。これは定期接種で、11歳時にすべての子どもたちに接種を推奨されています。しかし、このワクチンには百日咳(P)に対する予防効果はありません。百日咳(P)の免疫効果は4〜12年で低下するため、百日咳(P)を含むDPT(三種混合)を追加接種することで百日咳感染予防にもつながります。百日咳(P)ワクチン接種を行うと、もし家族内で百日咳(P)が流行ってしまっても接種者は約90%以上の発症予防効果があると確認されているほどの、効果のあるワクチンです。
DPT(三種混合)は
任意接種となるため費用が発生してしまいますが、それ以上の価値があるワクチンです。上記でも記載したように、免疫効果が4~12年で低下するため10年に1度は接種しておきたいワクチンでもあります。
「破傷風、百日咳、ジフテリアについて」
●破傷風
破傷風菌により発生し、感染した場合に亡くなる割合が非常に高い病気です。主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし毒素を通して、さまざまな神経に作用します。口が開きにくい、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の障害などを経て、最後には全身の筋肉が固くなって体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりし、亡くなることもあります。(厚生労働省より)
このように破傷風とは怖い病気ですが、ワクチンを接種することにより100%近い接種者が十分な抗体を獲得できると報告されています。
●百日咳
百日咳菌によって発生します。名前のとおり激しい咳をともなう病気で、一歳以下の乳児、とくに生後6ヵ月以下の子どもでは亡くなってしまうこともあります。主に気道の分泌物によって感染し、激しい咳のために乳幼児では呼吸ができなくなるために全身が青紫色になってしまうこと(チアノーゼ)やけいれんを起こすことがあります。また、窒息や肺炎等の合併症が致命的となることがあります。百日咳にかかった場合、一般に0.2%(月齢6ヵ月以内の場合は0.6%)のお子さんが亡くなってしまうといわれています。また、肺炎になってしまう お子さんが5%程度(月齢6ヵ月以内の場合は約12%)いるとされており、その他けいれんや脳炎を引き起こしてしまう場合もあります。(厚生労働省より)
ワクチン接種により、百日せきの罹患リスクを90%程度減らすことが出来ると報告されています。
●ジフテリア
ジフテリア菌により発生する病気です。その発生が最後に報告されたのが、1999年であり稀になりましたが、かつては年間8万人以上の患者が発生し、そのうち10%程度が亡くなっていた重要な病気です。主に気道の分泌物によってうつり、喉などに感染して毒素を放出します。この毒素が心臓の筋肉や神経に作用することで、眼球や横隔膜(呼吸に必要な筋肉)などの麻痺、心不全等を来たして、重篤になる場合や亡くなってしまう場合があります。ジフテリアにかかった場合、一般に10%程度の方が亡くなってしまうといわれています。また、特に5歳以下や40歳以上の年齢の場合は重くなりやすく、最大で20%の方が亡くなってしまうといわれています。(厚生労働省より)
ワクチン接種により、ジフテリアの罹患リスクを95%程度減らすことができると報告されています。
「DTよりもDPTを推奨する理由」
百日咳は国内の疫学によると特に学童期に多く、感染者の大半が百日咳含有ワクチンを4回接種済みであるにも関わらず感染していることが報告されています。ワクチンを最後に接種してから百日咳に対する予防効果は4年から10年程度で減弱するため、百日咳に対する免疫を維持するためには就学前や10代での三種混合ワクチンの追加接種を強くお勧めしています。
DPT接種する時期
ポイントは集団生活が始まる前に接種することです。
就学前(5-6歳;年長児)のお子さんは
定期接種の『MR(麻しん風しん)ワクチン2期』と『DPT(三種混合)』の同時接種を、
11-12歳のお子さんには
定期接種である2種混合(DT)ワクチンの代わりに『DPTワクチン』の接種をお勧めします。
「当院の値段」
3種混合(DPT)ワクチン:4000円(税込)
「まとめ」
百日咳は発症すると重症化リスクや合併症を残す可能性がありますが、きちんとワクチンを打てばかなり高い確率で予防できる病気です。本人の将来の健康の為に、また周りのお友達を守る為に接種出来るワクチンは進んで接種することを私たちはおすすめします!!