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RSウイルス感染症

[2023.04.14]

〜RSウイルス感染症について〜

こんにちは、アクアキッズクリニックです。
今回は、少しずつ流行りだしているRSウイルス感染症についてお話していきます。
RSウイルス感染症は、2歳までにほとんど全ての小児が感染すると言われており、軽い風邪で済んでしまうことも多いですが、6ヶ月未満の小さなお子さんやもともとご病気のあるお子さんでは重症化するリスクがあります。
RSウイルスと聞くと身構えてしまう親御さんもいらっしゃると思いますので、こどものRSウイルス感染症について、病気の概要や治療法、重症化しやすい例、予防策などを詳しくお話していきます。

 

〈RSウイルス感染症とは〉

RSウイルス感染症は、Respiratory Syncytial Virus(RSV)というウイルスが原因で引き起こされる感染症です。
通常RSウイルスに感染してから2~8日、典型的には4~6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻水などの症状が数日続きます。
多くは軽症で済みますが、重くなる場合には、その後咳がひどくなる、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューする)が出る、呼吸困難となるなどの症状が出現し、
場合によっては、細気管支炎、肺炎へと進展していきます。
初めて感染する乳幼児の約7割は、鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに軽快しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難症状などが出現します。

以前は冬季に報告数のピークがみられていましたが、2011年以降は7月頃から増加傾向が見られるようになりました。
日本では年間約3,000人の乳幼児が重症RSウイルス感染症により入院し、そのうち約1%が死亡しているとされています。
また、乳幼児のRSウイルス感染症による入院患者の約50%が6か月未満の乳児であり、この年齢層での重症化リスクが特に高いことがわかります。

全国の流行状況

 

〈重症化しやすいお子さん〉

RSウイルス感染症は、以下のようなリスクがあるお子さんが重症化しやすいとされています。

  • 生後6ヶ月未満の乳児
  • 早産児(在胎37週未満で生まれた赤ちゃん)
  • うまれつき心臓や肺のご病気があるお子さん
  • 免疫不全のお子さん

これらのリスクがある場合は、より注意してRSウイルス感染症の予防や早期対応が必要です。

 

〈シナジス筋肉注射〉

また、国が規定している条件にあてはまる重症化リスクのあるお子さんは、
重篤な下気道炎症状の発症を予防するシナジスという薬剤を当院でも月に1回筋肉注射することができます。

【対象のお子さん】

  • 在胎期間28週以下の早産で、12カ月齢以下の新生児及び乳児
  • 在胎期間29~35週の早産で、6カ月齢以下の新生児及び乳児
  • 過去6カ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24カ月齢以下の新生児、乳児及び幼児
  • 24カ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児及び幼児
  • 24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児,乳児および幼児
  • 24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児,乳児および幼児

対象のお子さんで当院でのシナジス投与をご希望の方は医師・看護師にご相談ください。

 

〈RSウイルス感染症の診断と治療〉

RSウイルス感染症は、主に症状と検査によって診断されます。
医師が症状を聞いたり、身体検査を行ったりして判断します。
また、本来1歳未満のお子さんが対象にはなりますが、鼻や喉の分泌物を検査することで、RSウイルスが原因かどうかを調べることができます。

しかし、RSウイルス感染症と診断されても、特有の治療法はなく、主に症状を和らげる対症療法(解熱鎮痛剤や鼻水・咳の薬などの症状を和らげる治療)が中心になります。

ただし、重症化した場合や重症化するリスクのあるお子さんの場合は、入院治療が必要となることがあります。

 

〈RSウイルス感染症の予防方法〉

RSウイルス感染症はRSウイルスに感染している人が咳やくしゃみ、又は会話をした際に飛び散るしぶきを浴びて吸い込む飛まつ感染や、感染している人との直接の濃厚接触や、ウイルスがついている手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触ったり又はなめたりすることによる間接的な接触感染で感染します。
RSウイルスが麻疹や水痘、結核のように空気感染(飛沫核感染)するといった報告はありません。

そのため、以下のような予防策を行うことで、感染リスクを減らすことができます。

  • こまめな手洗いやうがい
  • 感染者との接触を避ける
  • 人混みを避ける
  • マスクの着用
  • 手指のアルコール消毒
  • 空気の入れ替えや加湿器の使用

特に、リスクのあるお子様の場合は、予防策を徹底して行うことが重要です。

 

〈まとめ〉

こどものRSウイルス感染症は、早めに対応し重症化させないことや予防をしっかりすることが大切です。
幼児期以降の再感染による発症はよくみられ、その多くは軽い症状で済みます。
しかし、リスクのあるお子さんは重症化のリスクがあるので感染予防策をしっかり行ない、不安がある場合は医師に相談しましょう。
ご家族や周囲の方も、こどものRSウイルス感染症について理解し、適切な対応を行いましょう。

 

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