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麻しん(はしか)ってなに?ワクチン接種が最大の予防法!

[2024.03.27]

最近、麻しん(はしか)の国内発生のニュースが報道されており、不安に思う親御さんは多いと思います。
麻しん(はしか)にかかるとどうなるの?
予防は?
ワクチン接種は意味あるの?
今回はそんな疑問についてお話していこうと思います。

 

麻しん(はしか)とは

麻疹ウイルスに感染することによって引き起こされる病気で、一般的には「はしか」ともよばれています。
麻疹ウイルスは非常に感染力が強く、空気感染や飛沫感染、接触感染でヒトからヒトへと感染が伝染していきます。
(空気感染のためマスクや手洗いでの予防は難しいです)

免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染すると一生免疫(終生免疫)が持続すると言われています。

 

なぜこんなに大々的に報道されているの?

まず麻疹は感染力が非常に高いです。
前述したように麻疹の感染経路は空気感染や飛沫感染、空気感染でヒトからヒトへ感染していきます。
インフルエンザに感染した1人から周りに移す人数は1〜2人に対して、麻疹は1人の感染で12〜14人に移るとされています。

さらに「感染しても発症しない=症状がでない」はほとんどなく、感染した90%以上の人が発症します。

また空気感染のためマスクや手洗いでは予防できず、同じ空間にいる免疫を持っていない人は高確率で感染してしまい、あっという間に感染が広がります。

そして現在、最大の予防としてMR(麻疹、風疹)ワクチンが定期接種となっています。
日本では免疫をもっている人が増えたため、海外に比べて麻疹の感染、発症率が激減しています。

しかし、ワクチン接種できない月齢やMRワクチン接種の制度がなかった世代がいます。

MRワクチンを接種すると90〜95%免疫を獲得することができますが、30年程度で免疫が低下していきます。
そのため未接種の世代や1回のみ接種の世代、定期接種対象外の月齢の方は感染する可能性があります。
また、表で分かるように抗体を持っていない可能性のある世代や月齢の方は、麻疹に感染し合併症を引き起こした場合重症化しやすく、命に関わることもあるのです。

麻疹の感染が大きく広まる前に、自分がワクチン接種をしているのかの確認と追加のワクチン接種が大きな予防となるのです。

 

症状と経過

潜伏期

10日〜12日間の潜伏期間

◯カタル期(症状が現れている時期)

38度以上の発熱、咳、鼻水などの上気道症状。
結膜炎(目の充血、めやに、涙)に続き、口の中の頬粘膜にできる白い斑点(コプリック斑)が出現します。
コプリック斑は麻しんに特徴的な症状ですが、発疹出現後2日程度で消えます。

乳幼児では消化器症状として、下痢、腹痛を伴うこともあります。

◯発疹期

熱は少し下がり、その後数日で再び38度以上の高熱が出るとともに発疹が出現します。

発疹は耳の後ろ、おでこから始まり、顔面、体幹、上腕におよび、
2日後には手足の先までおよび、全身に発疹が広がります。
高熱は発疹が全身に広がるまで続きます。

◯回復期

発疹出現後3〜4日間続いた発熱は徐々に解熱していき、全身状態も良くなり、活気がでてきます。
カタル症状も徐々に軽快していきます。

発疹は黒ずんでいき色素沈着され、しばらく残ります。
合併症がなければ発症から7〜10日で元気になっていきます。

 

※麻疹を発症すると免疫機能が低下するため、しばらくは他の感染症に感染すると重症化してしまう可能性があります。

また体力が戻り元気に遊べるまで時間がかかることもあります。

 

◯発症した人が周囲に感染させる期間

症状が出現する1日前(発疹出現の3~5日前)から発疹消失後4日くらいまで(または解熱後3日)とされています。

 

合併症

重篤な肺炎では呼吸できなくなったり、頻度は低いものの急性脳炎を引き起こし命の危険にさらされたり、後遺症を残すこともあります。

・肺炎

麻疹の2大死因の1つで、乳幼児は特に悪化しやすく死亡例の60%は肺炎に関係あると言われています。

・脳炎

麻疹の2大死因の1つで命の危険や後遺症を残す可能性がある

・中耳炎

合併症の中で一番なりやすい。

・クループ症候群

乳幼児の合併症に多く、悪化時には酸素吸入や人工呼吸器が必要になる場合もあります。

・心筋炎

一時的に心電図異常がみられる場合があります。

 

治療

治療薬などはなく、症状に応じた対症療法が基本となります。

 

ワクチン接種は最大の予防!!

現在日本ではMR(麻疹、風疹)ワクチン(生ワクチン)の定期接種となっています。

 

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール

◯1回目接種:1歳以上2歳未満

◯2回目接種:5歳以上7歳未満(小学校入学前の1年)

 

上記の「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」が定期接種の期間で、お住まいの市区町村から予診票が届きます。
その予診票を持参すれば公費でワクチン接種ができます。
MRワクチンのスケジュールがなぜこのようになっているかは、後ほどお話します。

定期接種期間外のワクチン接種は任意接種となります。
MRワクチンの場合は生後6か月以上であれば年齢に関わらず接種可能です。

しかし公費負担はなく、当院では自費で13200円(税込)となります。
また任意接種によって健康被害が起こった時は、
予防接種法に基づく「予防接種後健康被害救済制度」ではなく、
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による「医薬品副作用被害救済制度」の利用になりますのでご注意下さい。

 

1回目が1歳以上で推奨されている理由

MRワクチンは生ワクチンのためお母さんの免疫が子どもに残っている状態で接種した場合、免疫を十分に得られないことがあります。
(1歳未満はお母さんからの免疫が子どもに残っていることがあります)

また、1歳未満でワクチン接種した場合でも、
1歳になったら通常通りのMRワクチン接種をしないといけないため計3回の接種となってしまい、子どもの負担も多くなります。
さらに1歳未満でのMRワクチン接種は任意接種となるため自費になってしまうことと、健康被害が起きた際に使用できる制度が異なることがあります。

2回接種を行う理由

・1回目接種で免疫が付かなかった方の子どもに免疫をつけることができる。

・1回目で免疫がついたが、時間とともに免疫が下がってしまった子どもたちに再び刺激を与え、免疫をつける。

・1回目に接種しそびれてしまった子どもたちにもう一度接種のチャンスを与えるため。

 

1回目接種と2回目接種に期間があいており、就学前の1年を待たずに打ったほうがいいのではないかと思う方もいると思いますが、
抗体の持続は10〜20年とされていますので、急いで接種する必要はありません。

就学前にMRワクチンを接種する理由

学校等は感染症が流行しやすい場所とされているため、

1回目で免疫が付かなかった子、免疫が低下しまった子、接種しそびれてしまった子が免疫を付けて、学校内での感染拡大予防することです。

また、それでもワクチン接種したい方は自費となり、就学前にもう一度接種となります。

計3回の接種となり子どもへの負担が大きくなりますのでそれを踏まえたうえでのご判断をお願いします。

 

MRワクチンを接種すると90〜95%で抗体を獲得できると言われています。

抗体を獲得すれば、感染のリスクを大幅に減らせることもできますし、もし感染したとしても重症化を予防できるのです。

 

副反応について

ワクチン接種を推奨していますが、やはりワクチンを接種するときに心配なのが副反応だと思います。

生ワクチンと聞くとなんだか怖いと感じる方もいるかと思います。

そもそも生ワクチンとは、病原体となるウイルスや細菌の毒性を弱めて、病原性をなくしたものを原材料として作られています。
接種後体内で病原体が増えることにより抗体を作っていきます。
非常に毒性が弱い病原体を使用しているため、子どもの免疫機能で問題なく抵抗力をつけることができます。

 

ワクチンの副反応でよく挙げられるのが、接種部位が赤くなること熱がでることです。
接種部位が赤くなることは、生ワクチン以外のワクチンでもよくあります。
基本的には治療の必要がありませんが、心配な方は一度受診していただけると安心だと思います。
発熱は、24時間以内に起こることがありますが、これも生ワクチンに限ったことではありません。

「副反応がでるかもしれないのに、なぜワクチン接種を受けないといけないのか?」と思うかもしれませんが、

ワクチンを接種することによるリスクと、感染症にかかったときのリスクを比較してみましょう。
【感染症にかかり後遺症を残すリスク】と【ワクチンの副反応のリスクはあるが、軽く自然に治るものが多い】を比較して判断をしていただきたいです。

 

まとめ

今回は麻しんについてと、ワクチン接種の重要性についてお話しました。
麻しんはMRワクチンを2回接種して抗体を持っていれば95%感染しないと言われています。

しかし、1歳未満の赤ちゃんは接種することができません。
ワクチン接種することは、自分の子どもの身を守ることはもちろん、周りのワクチン接種できない赤ちゃんを守ることにもなりますので、
対象年齢になりましたら速やかなワクチン接種をお願いいたします。

 

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