多汗症💦について
こんにちは、アクアキッズクリニックです。
汗疹に引き続き、もう少し大きくなったお子さんの場合に悩みとして増えてくるのが「多汗症」ではないでしょうか。
お出かけの機会が増えてきた昨今、お子さんがお出かけを十分に楽しめるよう「多汗症」の治療をはじめてみませんか?
今回はそんな「多汗症」についてお話ししていきたいと思います。
『多汗症とは』
多汗症には、
全身に汗が増加する・・・『全身性多汗症』と
体の一部に汗が増える・・・『局所多汗症』があります。
多汗症には特に原因のない原発性と感染症、その他の疾患に合併するものがあります。
今回のブログでは、原発性局所多汗症(特に原因のない局所的な多汗症)についてご説明します。
原発性局所多汗症では手のひら、足のうらや脇という限られた部位から、両側に過剰な発汗がみられます。
平成21年度の全国疫学調査では、原発性局所多汗症の患者さんは人口の約5.3%と高い割合であることがわかりました。
しかし、多汗症に悩んで医療機関にかかる患者さんはそのうちの1割以下であり、ほとんどの患者さんが治療していないことがわかっています。
多汗症は、汗のせいで日常生活や服装が制限されてしまう、人の目を気にして外出を控えてしまうなど患者さんにとって精神的な負担になりうるものです。
お子さんが汗が多いことを気にされている様子がみられた場合は、お気軽にご相談にきてください。
『原因と症状』
原因
発汗を促す交感神経が人よりも興奮しやすいのではないかとも言われていますが、まだはっきりしたことはわかっていません。
海外では多汗症患者で60〜65%に家族内に同じような症状の人がいたとの報告や遺伝子の関連があるのではないか?
と言われていますが十分な原因特定には至っていません。
症状
幼児期または思春期の頃に発症し、手のひら、足のうら、脇などに精神的な緊張により多量の発汗がみられます。
脇の場合は、左右対称に脇の下に多汗がみられ、下着やシャツにしみを作るほどです。
手足の症状の重い例では、したたり落ちる程の発汗がみられ、手足は常に湿って指先が冷たく紫色のような色調をしていることがあります。
このような湿った手足は汗疹ができて表皮がめくれたり、カビや細菌の感染を起こしやすいです。
昼間(10時〜18時)に汗が多いですが睡眠中の汗は止まると言われています。
『診断』
原発性多汗症の患者さんには診断基準があります。
もともと指摘されている病気がない場合の診断基準は以下です。
- 発症が25歳以下である
- 左右対称に発汗がみられる
- 睡眠中は発汗が止まっている
- 週に1回以上の多汗のエピソードがある
- 家族歴がある
- それらにより日常生活に支障をきたす
➡️局所的に過剰な発汗が明らかな原因のないまま6か月以上みとめられ、
上記2項目以上が当てはまる場合に、【原発性多汗症】と診断されます。
緊張や自律神経の乱れといった精神的な要因や気候・室温等温度の影響に関わらず、多量の汗が分泌される点が特徴です。
お子さんが多汗症かどうか、保護者の方は悩むことがあると思いますので上記を参考になさってみてください。
また、よくわからない場合も遠慮せずにお話を聞きにきてくださいね。
『治療』
治療は、外用・内服薬・注射・手術などがありますが、当院では保険適応の外用薬を処方することが可能です。
外用薬は、アセチルコリンという交感神経の神経伝達物質をブロックすることで汗腺からの発汗を抑える働きがあります。
発汗の多い部分に塗布する形で使用します。
どの薬剤も処方できる年齢に制限があるので医師にご相談ください。
また、使用上の注意として、薬剤の使用により皮膚炎や紅斑、痒み、湿疹、汗疹、口の乾き、光を眩しく感じるなどの副反応が生じる場合があります。
緑内障や前立性肥大症のかた、脇や手足などに湿疹・皮膚炎・傷などがある方はあらかじめ医師に伝えてください。
<主な外用薬の種類>
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- アポハイドローション
手汗に適応のある外用薬です。寝る前に両方の手のひらに5プッシュして就寝します。
両手に薬剤がついた状態で眠るため寝ている間に目を擦らないよう注意が必要です。
参考:アポハイドローション
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- エクロックゲル
日本初の保険適応のある、脇の多汗症の外用薬です。
1日1回適量を脇に塗布して使用します。
参考:エクロックゲル
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- ラピフォートワイプ
ワイプタイプの外用薬です。
1日1回、両脇に塗ることで効果が期待できます。
不織布に薬剤を染みこませており、1日1回両方の脇に塗って使用します。
1回使い切りタイプなので衛生的です。
参考:ラピフォートワイプ
『まとめ』
多汗症は、悩む人が多いにも関わらず、その特徴からなかなか治療に繋がらないことが多い病気です。
思春期のお子さんは汗が多く悩んでいても、恥ずかしさから口に出して伝えることを躊躇ってしまうこともあるかもしれません。
もしお子さんが汗に悩んでいる様子がみられた場合や、保護者の方からみて明らかに汗の量が多いとお感じになった場合は当院にご相談くださいね。