ワクチンで守ろう!
〜小さなお子さまを感染症から守るために〜
私たちの身の回りには、細菌やウイルスによって引き起こされる感染症がたくさんあります。
たとえば、みなさんが一度はかかったことのある「風邪」もその一つですね。
感染症には自然と治るものから、感染すると重い後遺症や合併症を起こしたり命に関わるものもあります。
これらを予防するのに安全かつ効果的な方法のひとつが「ワクチン」です。
ワクチンについて正しい知識を身につけ、予防できる感染症から子どもを守りましょう。
【そもそも、ワクチンってなぁに?】
ウイルスや細菌が体の中に入ると、免疫(病気と戦う力)が働いて、体を守ろうとします。
でも、はじめて出会う感染症にはすぐに対応できずに重症化してしまうこともあります。
ここで大切なのがワクチン接種です!
ワクチンとは、感染症の原因となるウイルスや細菌を加工・精製しウイルスや菌の力を弱めた り無くしたりして、身体にとって安全な状態にしたものです。
ワクチンを接種することで、体が 「この病気知ってるよ!」と覚えることができ、実際にウイルスや細菌が入ってきたときにすぐ に戦えるようになります。
【ワクチンで予防できる病気は限られている】
この世界には様々な種類の感染症ワクチンで予防することができる病気はほんの一部です。
ワクチンを開発するには、長い時間とたくさんの研究が必要ですが、それでも開発されたということはその感染症がとても危険で予防することが大切だからです。
特に、小さなお子さまは免疫がまだ未熟で感染症にかかると重症化しやすいことがあります。
確実な治療法がない重大な感染症から大切なお子さまを子どもを守るために、ワクチンの力を上手に活用していきましょう!
【ワクチンでどんなことができるの?】
ワクチンを接種することでどのようなことができるのでしょうか?
ワクチンを接種する目的は 「自分を守る」「みんなを守る」そして「病気そのものをなくす」という3つがあります
1.自分を守る…ワクチンでお子さま自身を守る!
ワクチンを打った自分自身が、その感染症に対する免疫を手に入れ発症や重症化を防ぐことが できます。
接種を受けた本人がその感染症にかかりにくくなったり、かかったとしても症状が軽く済むというメリットがあります。
2.みんなを守る…ワクチンで社会全体を守る!
多くの人がワクチンを接種し、十分な数の人々が病気に対する免疫をもつことによって、
ヒト とヒトの間でその感染症が感染・発症しなくなり、社会全体での感染症の流行を防ぐことができ ます。
私たちの周りには、まだワクチンを受けることができない赤ちゃんや、病気などの理由でワクチンを接種することができない人もいます。
ワクチンを打つことができる人がきちんとワクチンを接種することによって周りの人たちがバリアとなり、これらの人たちを感染症から守ることが できます。
これを「集団免疫(しゅうだんめんえき)」といいます。
3.病気そのものをなくす…ワクチンで感染症をなくすこともできる!
集団免疫が世界中の大きな範囲に及ぶと、感染症そのものを根絶することができます。
「天然痘」という感染症を聞いたことはありますか?
紀元前より伝染力が強く死に至る感染症 として人々に恐れられていました。
しかし、ワクチン接種が広まったことで発生数は減少し、 1980年に5月にはWHO(世界保健機構)により天然痘の世界根絶宣言が行われました。
それ以降、現在まで世界で天然痘の発生はありません。
ワクチンは、
・お子さま自身を感染症から守る
・社会全体を守る
・将来的に感染症そのものをなくす
ことができる、大切な手段なのです!
【ワクチンの種類】
ワクチンは、成分や精製方法の違いでいくつかの種類に分けることができます。
日本で接種することができるワクチンは予防接種法による定期接種と、それ以外の任意接種の2 種類があります。
定期接種とは
予防接種法に基づいて市町村が主体となって実施する予防接種の事です。
公費負担のため自己負担はありません。
下の表の太字のものが定期接種のワクチンです(当院ですべ て接種可能です)。
任意接種とは
定期接種の他に状況に応じて各自が希望して接種することができるワクチンのことです。
任意接種基本的に自費での接種となりますが、自治体により一部助成が出る場合があります。
子どもが接種することができるワクチンはどれも子どもたちの健康や命に関わる重大な感染症を予防するものです。
そのため、すべてのワクチンを接種することをおすすめしています。
【ワクチンの接種スケジュール、接種間隔】
ワクチンは、
赤ちゃんがお母さんから受け継いだ免疫が弱くなってくる時期、
病気にかかりや すい年齢や重症化しやすい年齢など適切な時期に接種する必要があります。
ワクチンによって接種する年齢や回数が決められています。
詳しいスケジュールはこちらを参考にしてください。
日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール(日本小児科学会HPより)
生後2ヶ月はワクチンデビュー!
ワクチンの種類も回数も多く、スケジュールを考えるのは大変です。
まずは、生後2ヶ月のお誕生日はワクチンデビューと覚えておきましょう!
「もう打つの?」「赤ちゃんに負担がない?」 と心配になる方も多いですが、ワクチンは大切な赤ちゃんを感染症から守るために不可欠です。
赤ちゃんはお腹の中にいる間、お母さんから免疫をもらっていますが、生まれてから少しずつ減っていきます。
免疫が無くなる前にワクチンを受けることで重い感染症から守ることができま す。
生後2ヶ月で接種できるワクチンは主に次の4つです!
・5種混合ワクチン
・肺炎球菌ワクチン
・B型肝炎ワクチン
・ロタウイルスワクチン(飲むタイプ)
当院では、接種後お帰りの際に次回接種可能なワクチンをご案内しております。
また、2ヶ月の初めてのワクチンの際に、お写真のプレゼントをさせていただきワクチンデビューを応援してい ます!
大切な赤ちゃんが元気に成長するために、一緒にワクチン接種を進めていきましょう!
【副反応について】
ワクチン接種と聞くと、「副反応大丈夫かな?」と不安になりますよね。
ワクチンは感染症から体を守る大切なものですが、副反応がまったくないわけではありません。
「これって大丈夫?」「いつ病院に行けばいの?と迷うときもあると思います。」
ここでは、ワクチン接種の際 によくある副反応と、おうちでできるケアや受診の目安を紹介します。
1.接種部位が腫れた!しこりになった!
接種した部分が赤く腫れることがあります。
軽い痛みや痒みを伴うことがあります。多くは3日ほどでよくなります。
おうちケア
特別な対応は不要ですが、強くこすったりしないように注意しましょう。
冷やすと楽になる場合もあります。
受診の目安
関節を超えて(肘、またはひざより先まで)腫れている、
痛みや痒みが我慢できない場合は診療時間内に受診をお願いします
2.いつもより機嫌が悪い!グズグズしている!
軽い倦怠感や痛みなどの不快な症状をうまく言葉にすることができず、
なんとなくいつもより機嫌が悪かったり、グズグズとしてしうことがあります。
おうちケア
無理な外出はせず、お家でゆっくり休みましょう。
お熱がないか確認してみましょう。
食欲がない場合は無理に食事摂取はせず、水分をこまめに取れるようにしましょう。
受診の目安
ぐったりしている、半日以上おしっこが出ない場合はすぐに病院を受診してください。
3.お熱が出た!
不活化ワクチンは接種当日〜1,2日後に、
生ワクチンでは5〜1週間後に38℃台くらいの発熱する場合があります。
多くは発熱当日から翌日に自然に解熱します。
おうちケア
いつもより不機嫌になったり、食欲が落ちたりすることがあります。
脱水にならな いようこまめに水分摂取をしましょう。
受診の目安
39℃以上のお熱が続く、鼻水や咳など、鼻水や咳など発熱以外の症状がある場合は診療時間内に受診してください。
ぐったりしていて水分摂取ができず、半日以上おしっこが出ない場合や、痙攣している場合はすぐに受診してくください。
4.アナフィラキシーって?
ワクチン接種後に「アナフィラキシー」という強いアレルギー症状が起きることがあります。
とてもまれな副反応ですが、どのような症状が出るのか知っておくことで落ち着いて対応することができます。
アナフィラキシーの症状
接種後、数分〜30分以内に次のような症状が急に現れることがあります。
皮膚の症状:じんましん、赤み |
呼吸の症状:ぜーぜーする、息苦しい、喉の違和感 |
消化器の症状:吐き気、嘔吐 その他の症状:ぐったりする、血圧低下 |
当クリニックでは万が一の副反応にも迅速に対応できる準備をしています。
初めてのワクチンを接種したあとはクリニック内で待機していただき、安全を確認してからお帰りいただいています。
ご自宅に帰ってから「いつもと様子が違うな」と感じたらすぐにご連絡くださいね。
【ワクチン、やっぱりちょっと心配…という方へ】
「やっぱり赤ちゃんにたくさんの注射を打つのはかわいそう」
「副反応が心配」
「本当にワクチンが必要なのかわからない」
「全部打つべきなの?」とワクチン接種が心配な方もいらっしゃ ると思います。
当院では無理にワクチン接種を進めるのではなく、ワクチンの効果や副反応につ いてしっかり説明し、ご家族と一緒に考えることを大切にしています。
ワクチンについてご不安なことや、疑問がある場合はぜひ一度ご相談にいらしてお話を聞かせてくださいね。
小児科の専門の知識や経験に基づいて、お子さまの健康を守るための方法を一緒に考えたいと思います。
【ワクチン接種でお子さまを感染症から守ろう】
ワクチン接種はお子様が元気に成長するための大切な手段です。
予防できる感染症から守ることで、お子様だけでなくご家族やまわり人たちの健康を守ることにもつながります。
大切なお子 様の健康を守るために、私たちと一緒にワクチン接種を考えていきましょう。
気になることやお 困りのことがありましたらお気軽にご相談くださいね。