🍴食中毒💀
こんにちは。
アクアキッズクリニックの看護師長平澤です。
夏に入り、近頃は気温もかなり高くなってきましたね。
高温で多湿な夏は食中毒の多い時期になります。
お子さんを食中毒から守るために気をつけておきたいこと、罹ってしまった際の対応について一緒に確認していきましょう。
食中毒とは
食中毒を起こす細菌やウイルスが、食事を介して体内に入ることで、腹痛・嘔吐・下痢・発熱などの症状がでる病気のことを言います。
原因によって、症状の出方や、症状のでる時間は様々です。
細菌は湿度と温度の高い場所で増殖しやすい傾向があります。
そのため、細菌による食中毒は、夏の梅雨時〜9月ごろにかけて多くなります。
反対に、ウイルスは低温で乾燥した環境を好むため、ウイルスによる食中毒は11月〜2月ごろに多くなります。
《食中毒の予防》
食中毒を防ぐために
①細菌やウイルスを、食べ物に「つけない」
食中毒を起こす細菌やウイルスは、調理者の手や調理器具を介して付着する可能性があります。調理の順番や、食品の購入時にも気をつけることがあります。
!!!ポイント!!!
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- 手洗いの徹底:調理前はもちろん、生肉や魚、卵などに触れた後も手を洗いましょう
- 調理器具の使い分け:生の肉や魚に触れた器具が、他のものに触れないようにしてください
- 調理器具の消毒:生肉を切った後は必ず洗剤で洗い、熱湯で消毒する。可能であれば、肉用と野菜用などでまな板を分けましょう
- 食材をよく洗う:生のまま食べるサラダや野菜もしっかり流水で洗いましょう
②食べ物に付着した細菌などを「増やさない」
細菌は時間とともにどんどん増殖していきます。もしも、食品に細菌が付着してしまっても、食中毒になる量まで菌が増殖しなければ、食中毒にはなりません。また、細菌の多くは10度以下での低い温度の環境では増えにくくなります。そのため、調理後速やかに冷やすことも大切です。
!!!ポイント!!!
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- 調理は迅速に:不要なものは長時間室温に置かないようにしましょう
- 安全な温度に保つ:冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は‐15度以下に維持しましょう。冷蔵庫内の温度を適切に保つ為、詰めすぎに注意し、中は7割程度にしましょう。
③食べ物に付着した細菌などを「やっつける」
ほとんどの細菌やウイルスは、熱に弱く、加熱によって予防することができます。
お肉や魚で、厚みのあるものは中心部分まで加熱ができていないことがあるため注意しましょう。
!!!ポイント!!!
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- 中心部分を75℃で1分以上の加熱が目安です
- カレーやシチューはグツグツとなるまで、かき混ぜながらしっかり熱を加えましょう
※引用資料
★ミルクの食中毒予防★
近年、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)では、乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」として、以下の内容があります。
- 乳児用調製粉乳の調乳に当たっては、使用する湯は70℃以上を保つ
- 調乳後2時間以内に使用しなかったミルクは廃棄する
粉ミルクを使用する際は1度沸騰させたお湯を70度まで冷まして使用するようにしましょう
※引用資料
クロノバクター・サカザキについて-内閣府-食品安全衛生委員会
《食中毒になってしまったら》
◯受診しましょう!
乳幼児の場合、食中毒の症状が重症化する可能性があります。下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状が続く際は受診するようにしましょう。
◯自己判断での薬の内服は危険です!
下痢を止める薬などは、逆に症状を悪化させる可能性もある為、やめましょう。
◯水分摂取と糖分摂取をしましょう!
特に小さいお子さんは、身体の水分量が多いことや、臓器が未発達な点から、容易に脱水や低血糖になります。
食事が十分に取れていない際は、水や麦茶だけでなく、リンゴジュースやポカリスエットなど糖分を含んだ飲み物を摂るようにしましょう。
◯受診時に伝える情報を把握しておきましょう
数日前からの食事内容や、周りで流行っている感染症。便や嘔吐物の状態や回数などを、メモして医師に伝えやすいようにしておきましょう。
◯二次感染を防ぎましょう!
食中毒により吐いたものや便などから周りの人に感染する可能性もあります。
一緒に住んでいる家族にうつらないよう、おむつを交換した後などは必ず手洗いをし、ビニール袋などに密閉して捨てるようにしましょう。
汚れてしまった洋服などは、*薄めた塩素系漂白剤に10分浸すか、85度以上の熱湯に2分程度浸してから、他の洋服と分けて洗濯しましょう。
※500mlのペットボトルの水で、ハイターをキャップ1杯分入れて薄める
《まとめ》
食中毒による症状は様々で、軽度なものから重症化する危険なものもあります。
食中毒にならないために、まずは予防が大切です。
予防の3原則「つけない」「増やさない」「やっつける」を再度意識して生活してみましょう。
嘔吐や下痢、腹痛などの症状が出た際は、食中毒以外の病気が隠れている可能性もあります。
心配な際は近くの病院へまずは受診しましょう!
具体的な食中毒の種類や対応方法
細菌による食中毒
①カンピロバクター
症状:腹痛、下痢、発熱
原因:食肉、飲料水、サラダなど
潜伏期間:1〜7日
牛や豚、鳥や犬猫などの動物の腸内にいる細菌です。この菌が付着した肉を生で食べたり、加熱不十分のまま食べることで発症します。
この菌は、熱や乾燥に弱いため、加熱をしっかり行うことで予防できます。
②黄色ブドウ球菌
症状:嘔吐、腹痛、下痢
原因:手を使用するような弁当、サンドウィッチなど
潜伏期間:1〜5時間
黄色ブドウ球菌は皮膚の常在菌です。手に傷がある状態で食べ物に触れることが原因となります。
この菌の毒素は熱に強く、100度30分の加熱でも無毒化しません。
そのため、調理前や調理中のこまめな手洗いが重要です。
また、手に傷がある際は手袋を使用するなどして対策をしましょう。
③サルモネラ属菌
症状:下痢、腹痛、嘔吐、発熱
原因:カレー、シチュー、生卵
潜伏期間:6〜72時間
卵や肉が十分に加熱されていない場合に原因となることがあります。
サルモネラ菌は5度以下ではほとんど増殖しないため、カレーやシチューなどは速やかに冷蔵庫に入れて保存し、できるだけ早く食べきるようにしましょう。
また、ペットの動物が保菌していることもあるため、ペットに触れたあとは、きちんと手洗いをしましょう。
④腸管出血性大腸菌(O‐157)
症状:水様便、血便、腹痛、悪寒
原因:生肉
潜伏期間:3〜5日
O‐157は、動物の腸内に生息しており、汚染された食肉やその加工品などから感染します。
また、感染した人の嘔吐物や排泄物からの二次感染もします。
この菌は、熱に弱いため、中心部分までしっかり火を通すことで予防できます。
④ウェルシュ菌
症状:下痢、腹痛
原因:カレー、シチュー
潜伏期間:1〜5時間
ウェルシュ菌の特徴は空気を嫌うことです。
カレーやシチューなど大きな鍋を使用して作る料理は、鍋底の空気が少なく増殖しやすくなってしまいます。
調理の際にも、菌の増殖を防ぐために、かき混ぜて空気を含ませながら加熱するようにしましょう。
また、保存の際も浅めの容器へ移し、速やかに冷蔵庫へ入れましょう。
ウイルスによる食中毒
①ノロウイルス
原因:二枚貝(特に牡蠣)、古い井戸水
症状:悪心、嘔吐、腹痛、水溶性下痢
潜伏期間:1〜2日
ノロウイルス自体は熱に弱く、85度以上で1分以上の加熱で予防できます。ノロウイルスに感染した人の嘔吐物や排泄物には大量のウイルスがいるため、それらを経由して感染することがあります。ノロウイルスはアルコールでは効果が乏しいため、塩素系の漂白剤などを使用して消毒することが望ましいです。(ハイターやミルトン、ピューラックスなど)
寄生虫による食中毒
①アニサキス
原因:魚介類
症状:みぞおちの疼痛、嘔吐、下腹部痛
潜伏期間:1〜4日
アニサキスが寄生した魚介類を生で食べることで、アニサキスが胃壁や腸壁に刺入して、食中毒を引き起こします。アニサキスは、寄生している魚介類が死んだ後に内蔵から筋肉に移動すると言われています。新鮮な魚を選び、速やかに内臓の処理をしましょう。‐20度で24時間以上冷凍するか、70度以上で1分加熱することで予防できます。