身近な事故にご注意を
こんにちは、アクアキッズクリニックです。
今回は自宅や外出先での注意していただきたい事故についてお話していきたいと思います。
生まれたばかりの時は、仰向けに寝ているばかりだったお子さんもあっという間に大きくなり、寝返りをしたりずり這いやハイハイ、つかまり立ちをしたりと自分で好きなように動けるようになってくる時期がきますね。
自分で動けるようになってくると身近な場面での事故も増えてきます。
まだ自分の身を自分で守ることができないお子さんは、親御さんが身近な事故からお子さんを守ってあげる必要があります。
日常に潜む危険を一緒に振り返っていきましょう。
1.誤飲誤食
誤飲・誤食とは、おもちゃや乾電池などの異物を誤って飲む込むことをいいます。
特に生後7−8ヶ月頃から誤飲・誤食事故は急増し、3−4歳頃までみられます。
親指と人差し指で作る輪に入る大きさのものは子どもの口に入ります。生後10ヶ月頃になると自分の手で拾ったものを何でも口に入れるようになります。
これはお子さんが順調に発達している証ですが、周囲の大人が気を配り予防してあげる必要があります。
厚生労働省の報告では、小児の誤飲事故の原因製品としては
「タバコ」で最も多く全体の約4割を占めています。
次いで「医薬品・医薬部外品」、「玩具」、「金属製品」、「プラスチック製品」、「洗剤・洗浄剤」、「化粧品」、「硬貨」、「電池」、「食品類」となっています。
「タバコ」
誤飲事故を起こした年齢について見ると、タバコが生後6ヶ月からの1年間に多く見られているのに対し、医薬品・医薬部外品は年齢層はより広いものの、特に1~2歳児にかけて多く見られていました。
このころには、自らフタや包装を開けて薬を取り出せるようになり、家族が口にしたものをまねて飲んだりもするため、誤飲が多くなっているものと思われます。
また、誤飲の発生した時刻は、昼や夕刻の食事前後と思われる時間帯に高い傾向があります。
「医薬品・医薬部外品」
本人や家族が使用した薬が放置されていたものを飲んだり、家族が口にしたのをまねて飲むこと等が考えられ、使用後の薬の保管には注意が必要です。
医薬品・医薬部外品の誤飲事故は、薬がテーブルや棚の上に放置されていた等、医薬品の保管を適切に行っていなかった時や、保護者が目を離した隙等に発生しています。
また、シロップ等、子供が飲みやすいように味付けしてあるもの等は、子供がおいしいものとして認識し、冷蔵庫に入れておいても目につけば自ら取り出して飲んでしまうこともあります。
小児の医薬品の誤飲は、大量に誤飲したり、効力の強い薬を誤飲した場合には、時に重篤な障害をもたらす恐れがあり、家庭内での医薬品類の保管・管理には十分な注意が必要となります。
「電池」
電池の誤飲に対する報告では、誤飲した電池の大半は、ボタン電池でしたが単4サイズの小さい乾電池を誤飲した事例の報告もあります。
電卓やリモコン等ボタン電池を使用した製品が多数出回っていますが、電池の誤飲事故は幼児がこれらの製品で遊んでいるうちに電池の出し入れ口のフタが何らかの理由で開き、中の電池が取り出されてしまったために起こっている場合が報告されています。
親御さんは、電池の出し入れ口のフタが壊れていないか確認するとともに、電池を子供の手の届くところに置かないことが必要です。
特に放電しきっていないボタン電池は、体内で消化管等に張り付き、せん孔(穴が開く)の可能性があるので、子供の目につかない場所や手の届かない場所に保管するなどの配慮が必要となります。
「食品類」
食品の誤飲に対する報告では、酒類や飴、こんにゃくゼリーといった食品が報告されています。
酒類は大人が飲んだ酒の空き缶を置きっぱなしにして子どもが飲んでしまった事例があります。
また、飴は大きさ・形ともに誤飲しやすく、気道に詰まって窒息を起こすため、乳幼児では食べさせること自体が禁忌です。
こんにゃくも同様でうまく噛み切れずに飲み込み気道に詰まった場合は窒息で命を落とすこともあります。
周囲の大人は誤飲・誤食の可能性のあるものを正しく認識し、環境を整えてあげることが何より重要です。
万が一誤飲誤食事故が起こってしまった場合、鋭利なものやボタン電池など緊急性の高い場合は速やかに病院を受診してください。
また、応急処置は、症状の軽減や重篤な症状の発現の防止に役立ちますので、応急処置に関して正しい知識を持つことも重要です。
以下に日本中毒情報センターのリンクがありますので、対応や予防について予備知識をつけておくことをおすすめします。
中毒事故の問い合わせが多い家庭内の化学製品|(財)日本中毒情報センター
参考文献)
2.転倒転落
転倒転落は、乳幼児の子育て経験のある約4割の保護者の方が経験したことのある頻度の高い事故です。
転倒転落にはいたらなくてもヒヤッとした経験のある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
転倒転落の事故は、誤飲・誤食を起こす年齢が比較的低年齢なのに比べ、小学校入学後でも起こりやすい事故となっています。
厚生労働省の「人口動態調査」によると、9歳以下の子どもの建物からの転落により夏を中心に令和2年までの5年間で21人亡くなっています。
子どもは落ち始めて地面につくまであっという間です。そのため、重大な事故を防ぐためには事前の対策が必要となります。
以下に事故の特徴と対策について消費者庁が掲載しているものを記載しているので参考になさってください。
【遊具からの事故】
特徴:3-8歳を中心に幅広い年代で発生し、受傷部位は腕や頭が多いです。
➡遊具や施設の対象年齢を守る
➡6歳以下の幼児には保護者が付き添う
➡子どもの服装や持ちものに注意する(引っかかる恐れがあるため)
➡危険な遊び方をさせない
➡高温・雨による滑りなど気候に注意する
➡遊具の不具合や破損がないか確認し、あれば管理者に連絡する
【家具やベビーカーからの転落】
特徴:0歳を中心に低年齢の子どもで発生し、受傷部位は頭が多いです。保護者が子どもを置いて目を離した隙に転落する事故が目立ちます。
➡できるだけベビーベッドに寝かせ、転落防止用の柵は常にあげる
➡乳幼児用製品は取扱説明書に従いベルト等を適切に使用する
➡一時的であってもテーブル等の高さのあるところに寝かせない
➡転落の二次的な事故を防ぐために、怪我や窒息につながるものを周囲に置かない
【抱っこ・おんぶからの転落】
特徴:0歳で多く発生し、受傷部位は頭がほとんど。抱っこ紐使用中の事故も発生しています。保護者が立っている場合は落下高さは1mを超えます。
➡おんぶや抱っこをする時・降ろすときは低い姿勢で行う
➡抱っこ紐で前にかがむ際は必ず手で子どもを支える
➡抱っこ紐のベルトやバックル類の留め具のゆるみがないか確認する
【階段からの転落】
特徴:ハイハイから歩き始める1歳前後に多く発生し、受傷部位は頭が多く、全身を打撲することもあります。
➡ベビーゲートを正しく取り付け、常に締めてロックをかける
➡設置したベビーゲートは定期的に確認する
➡ベビーゲートの対象年齢を超えたら使用をやめる
【窓・ベランダからの転落】
特徴:3-8歳の幅広い年代で発生し、受傷部位は頭を中心に広範囲に及びます。高所からの落下は生命に関わる重大な事故になる恐れがあります。
➡子どもが勝手に窓をあけたり、ベランダに出たりしないように窓には子どもの手の届かない高 さに補助鍵をつける
➡窓やベランダの手すり付近に足場になるようなものを置かない
➡窓、網戸、ベランダの手すりなどに劣化がないか定期的に確認する
➡小さな子どもだけを家に残して外出しない
➡窓をあけた部屋やベランダでは小さな子どもだけでは遊ばせない
➡窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄りかかったりさせない
もしも、転倒転落事故が起こしてしまった場合は、どこを打ったのか確認するようにしてください。
⚫頭を打った場合に、けいれんや意識障害がある場合は迷わずに救急車を呼んでください。その他の気になる症状がある場合は、病院を受診しましょう。
注意することとして以下を参考になさってください。
・すぐに泣きましたか?
・意識ははっきりしていますか?
・何回も続く嘔吐はありませんか?
・大きなたんこぶ(皮下血腫)はありませんか?
・ぶつけた部分が凹んでいませんか?
・手足は左右差なく、よく動きますか?
・視線は合いますか?
・あやすと泣き止みますか?
頭を打った場合は、2-3週間の間、遅発性の頭蓋内出血・硬膜下血腫の可能性があります。
2-3週間の間は注意して観察するようにしてください。
また、頭を打ったあと比較的元気にしていても、
・頭痛がある
・吐き気がある
・ひどく不機嫌
・意識が混濁している
・傾眠傾向
・手足が動かない、麻痺などの神経症状
ような症状がみられた場合は、再度受診をしてください。
参考文献)
子どもの転落事故に注意! - 落ちるまではあっという間です。事前の対策で事故防止を - | 消費者庁
3.まとめ
今回は、身近で起こりやすい事故である、「誤飲誤食」と「転倒転落」についてお話していきました。
子どもの事故は子ども自身では防ぐことが難しいので、周囲の大人の方が環境を整え、気配り・目配りをすることで危険から守ってあげましょう
。もしも事故が起こってしまった場合は、ご相談くださいね。