🫁🫁ぜん息🫁🫁について
こんにちは。アクアキッズクリニックです。
最近暖かい日が増えてきましたね。先月の寒暖差が激しい時期はお子さんがぜん息発作で受診する機会が多くありました。
これから始まる4月も、保育園や幼稚園に入園し集団生活により、風邪をもらうことからぜん息発作を起こすお子さんが増えることが予想されます。
今回は『ぜん息』についてお話していこうと思います。
「ぜん息とは」
喘息は、気道(空気の通り道)の慢性的な炎症を特徴とし、さまざまな刺激により気道が狭くなることによって、咳・喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)、呼吸困難を繰り返す病気です。
〇通常の気道のかたち
〇ぜん息の気道のかたち
〇ぜん息発作を起こしたときの気道のかたち
小児喘息を発症する頻度は世界的には増加している地域が多いですが、日本では喘息に対して積極的に治療をしていることもあり、横ばいから低下傾向に変わりました。
2017年以降は0〜14歳の喘息死はゼロになっています。
しかし大人では喘息によって年間1400人程度亡くなっており、子供のうちからしっかり治療して大人に持ち越さないようにすることがとても大切です。
「ぜん息の原因」
まず、喘息の原因についてですが、発症要因は 《①個体因子》と《②環境因子》に大別されます。
①個体因子とは、
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- 性別(男児のほうが喘息になりやすい)
- アレルギー素因(アレルギーになりやすい体質)
- 気道敏感性(さまざまな種類の刺激に対して気管が敏感に反応すること)
- 出生時の低体重
- 肥満
- 遺伝因子 などが挙げられます。
②環境因子とは、
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- ダニ・動物の毛などのアレルゲンへの曝露
- 呼吸器感染症
- 気圧の変化
- 室内大気
- 大気汚染 などが挙げられます。
①個体因子については、肥満以外は避けることが難しいと考えられます。
②環境因子についても、
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- 動物への接触を最小限にすること
- 換気・掃除を行うこと
これ以外は避けることが難しいので、
喘息を発症した場合は避けられる因子については極力避けた上で、
お薬によってしっかり治療していくことが必要です。
「喘息の症状」
喘息の発作は、《軽微な症状》、《小発作》、《中発作》、《大発作》、《呼吸不全》に分類されます。
▼軽微な症状
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- 起床時・泣いたあとの咳
- 夜間の覚醒することのない咳
- 運動した後や大笑いした後の咳
▼小発作
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- 夜間は眠ることができますが、歩行時に軽い呼吸困難感を伴うもの
- 喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューする呼吸)が少しある
- 酸素飽和度は96%以上ある状態。
▼中発作・・・入院一歩手前の状態
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- 喘鳴や陥没呼吸(鎖骨の下や肋骨の間が呼吸の度にベコベコ凹むような呼吸)が明らかにある。
- 横になると苦しいので座位を好む。
- 夜間は咳き込みや苦しさで起きてしまうことが多い。
- 酸素飽和度は92-95%程度。
▼大発作・・・入院による加療が必要
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- 喘鳴や陥没呼吸が明らかにある。
- 安静時・歩行時ともに呼吸困難感が明らかにあるため、食事や睡眠も障害される状態
- 酸素飽和度は91%以下。
▼呼吸不全・・・早急に高度医療機関による入院加療を必要
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- 喘鳴は弱い・または消失し、陥没呼吸が明らかにある。
- 意識障害が出現し歩行・会話ともにできない。
「診断」
喘息のガイドラインでは、
5歳以下の繰り返すぜん鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)のうち、
- 24 時間以上続く明らかな呼気性ぜん鳴 を3回以上繰り返す。
- β₂刺激薬(気管支をひろげるお薬)吸入後に呼気性ぜん鳴や努力性呼吸・酸素飽和度 (SpO₂)の改善が認められる場合
上記2つにあてはまる場合を『乳幼児喘息』と診断する、と記載されています。
呼気性喘鳴を 認めるが、β₂刺激薬に反応が乏しい場合に対しては、
「診断的治療」を用いて「乳幼児喘息」と診断できるとしています。
「診断的治療」とは、
重症度に応じた長期管理薬を1か月間投与(喘鳴がコントロール できた時点で投与を中止)して経過観察し、治療反応を評価することを言います。
治療を実施している間(長期管理薬を内服している間)は症状がなく、中止すると症状が再燃する場合を「乳幼児喘息」と判断するとしています。
長期管理薬使用時、中止時も症状が変わらない場合には、
喘息はむしろ否定的であるため、再度鑑別診断を行う必要があります。
「治療と目標」
長期管理の目標は、
「基本病態である気道の炎症を抑制し、無症状の維持、呼吸機能や気道過敏性の正常化、生活の質の改善を図り、最終的には寛解・治癒を目指すこと」です。
長期管理における薬物療法では、主に症状発現を予防するための長期管理薬(コントローラー)を用い、急性増悪(発作)時には症状を改善させるための発作治療薬(リリーバー)を適宜併用していきます。
〇長期管理薬(コントローラー)
内服や吸入薬
〇発作治療薬
吸入薬・貼付剤
長期管理薬を適切に内服・吸入した上で、良好なコントロール状態を3か月以上維持できたときには増悪予測因子を考慮しながら減量・終了を検討していきます。
長期管理薬には、『ロイコトリエン受容体拮抗薬(気道の炎症をとるお薬)の内服』と、『吸入ステロイド』があります。
どちらも気道の炎症をとるお薬ですが、初めは内服薬から始めて効果が不十分な場合に吸入ステロイドを追加治療として行い治療への反応を確認します。
発作治療薬には、クリニック内で行う『気道をひろげるための吸入』や『貼るテープ』などがあります。
基本的には3−6ヶ月間、長期管理薬を内服し、
風邪を引いた際に、風邪が風邪で終わるように
(夜間ゼーゼーヒューヒューして眠れないといった、喘息発作が出現せず発作治療薬の登場がないように)
コントロールしていくことが大切です。
「まとめ」
”ぜん息”と聞くと、身構えてしまう親御さんは多いかもしれません。
しかし、適切な治療を行っていけば、子どもは成長に伴って喘息を起こしづらくなることもわかっています。
”ぜん息”と診断された場合は、必要なお薬を必要な期間しっかり使用し、
お子さんに二度と苦しい思いをさせない、大人に持ち越さないようにしていきましょう。
大人に持ち越さないようにするには、お子様1人だけではとても難しいです。
ご両親、周りの人のサポートが必ず必要となっていきます。
アクアキッズクリニックもしっかりサポートしていきますので
もし不安や心配になることがありましたら、ご相談ください。
これからもよろしくお願いします。
[参考文献]
〇独立行政法人 環境再生保全機構